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02 Décadence

更新日:2020年12月25日


0. 新しいものが生み出され、いらなくなったものが失われていく現代に、物事の本質を考え解釈することを提示する。

 人が生活するために作られた建築物が捨てられ老廃し朽ちていくと退廃的な空間が生まれる。その空間は私たちの生活にはマッチしない倦怠感がある。しかし、その空間には人工的には生み出すことのできないパニック的な美があり、全てが古ぼけているが潜在的に生きている世界を感じる。人が手を加えないと建物の地盤が崩れ、柱や梁が露わになる。壁や床が崩れ落ち土に還る。そして植物がつたう。人が生活することを失われた空間には本質に還ろうとするところから新しい片鱗が漂う。

 


01. 普段の生活の中で目を引く空間があった。その退廃的な空間は新しいものを生み出す社会の中で、現在も場違いでありながら存在し続けているようだ。しかし、それは新しい空間よりも多く存在している。捨てられ老廃し朽ちていく空間とモノは新しいものと比べ嫌悪される嫌いがある。しかし、その中には新しいモノにはない趣向や美しさを私に感じさせる。

「退廃 decadence」を始点とし空間の構造を考える。

退廃的:(人の心が)荒れていて健全ではない様 「退」おとろえる 「廃」すたれる、おとろえる →衰え廃れること⇒道徳的ではない、健全さが失われている decadance : 非社会的で倦怠に溺れた生活

例えば住宅街を歩いていると、新しい家と人が住んでいるのかさえ怪しい家がある。また、今は2020年に向けた建造物や交通機関の見直しが進行しており、物事が新しいものへと移行し続けている。しかし、外観や電車と比べ地下鉄などの構内は空気が古さを感じる。

02.「建造物は過去の優れた建築に影響を受ける。」これは建築だけでなく、モノづくりにおいて基盤となる考えである。モードが構成され疲弊し、新しいモードが要請される。それはNeoという考えに即している。Neo(ネオ)はファッションでもよく聞く言葉だが、過去に一度まとめられた様式をさらに改訂することである。新しい技術が生まれる中に過去の様式は急速に発展する社会にマッチしない。社会追従型芸術と言われるものはそんな中で発生した。サー・ジョン・ソーンズ美術館がそれに追従しているように思う。

03. ところで、「折衷主義」と「廃墟趣味」の通じるものがあることに気づいた。昔の文化が残りつつ新しい事象が生まれ、混在していく。時間や由来の異なる人工物が混在して一緒にクタになる。これが真の未来像であり現在性である。それは全てが古ぼけているが生きている世界である。  政治学者、ベネディクト・アンダーソン『想像の共同体』という書籍がある。これは現在の国家というまとまりを人々が理念として獲得したのはいつか、という問いかけの本である。その中に折衷に似た事例がある。18世紀頃、国民国家の発生と同じ時代にできた新聞には、紙面に集められた記事が互いに脈略もないはずなのに、何らかの共時性を感じる、と提示している。これは空間を作り上げるという意味合いでは廃墟に通じるのではないか。出会うことのなかったものがある場の上によってのみ、共通の時間や空間を事後的に作った。過去⇆現在という時間的表現の対となるもの。また、「自然(荒削りで突発的な猛威によって環境を変える)」と「人工(自然に内在する純粋幾何学としてプラトニックな本質を露わにする)」という自然物と人工物の存在的対となるもの。ある空間の中に時間や様式などの異なる文脈を持つもの等が作り出す空間に、魅力を感じるのではないだろうか。これはコラージュという芸術的創作技法にも言える。


04. Neoと同じように脱構築にも同じようなことが言える。脱構築(deconstruction)は「我々自身の哲学の営みそのものが、常に古い構造を破壊し、新たな構造を生成している」というように脱構築も脱構築され続けている。Maison Margielaにあるようにグランジなテイストをモードの領域に昇華した脱構築から再構築を試みているブランドも実際にある。本質的な概念を奪われたところにモードの片鱗が漂う。最新モードに反発し過去に作った服を再度発表する行為は衣服に粘菌を植え付けていくようなイメージと言われている。美しく洗練された建造物は次第に朽ちていく。壁に植物がまとわりつき、破壊されていく行為は建築物としての本質的な概念を奪うことになる。そしてその行為によって粘菌が植え付けられ、本来の用途とは別の概念を持ったモードの片鱗が見えてくるのだろう。


05. ここで私の中のキーワードを提示したい。

  ・全てが古ぼけているが生きている世界

  ・本質的な概念が奪われる

  ・粘菌を植え付けられ朽ちていく

  ・パニック的な美


時系列で表す

退廃的な建物・空間

・粘菌が植え付けられて朽ちていく |

・地震や老朽化による歪み     | ⇨脱構築

・人が済まないことで起こる老朽化 |

↓                |

自然に還ろうとする        |

・土になる            |

・ツタが這う           | ⇨パニック的な美


⇨古ぼけているが生きている。本質的な概念を奪われたところに見える美



06. 過去と現在を混在した空間は、過去を再構築し新しい様式を生み出す可能性を感じさせる。現在に過去は完全に再現できない。過去は逃げ、消え、掴めることができず再現することがない。私が過去を認識することは、言葉と記憶でしかない。しかし、この空間は粗末な姿で、僅かながら過去を再来させ私に訴え現在性を問い立てる。

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